『白い指先の小説』 片岡義男
『白い指先の小説』
片岡義男 毎日新聞社 1,900円+税 TJARから戻り、しばらくは活字が全く頭に入らなかったのですが、さすがに最近は以前のように、通勤時を中心に活字を追い求めています。 以前からも度々紹介していますが、片岡義男さんの小説やエッセイは好きで、高校生時代から長く愛読している作家のひとりです。 本書には4つの短編が収められているのですが、いずれも小説を書く女性が登場します。そして、いつものことではありますが、その女性たちはいずれも非常に素敵なのです。 片岡義男さんの小説を読む時、いつも気になるのは、間取りです。主人公の住んでいる部屋が描写されることが多いのですが、とても魅力的です。頭の中で、部屋のイメージを組み立てるのが、とても楽しいのです。実は大学院時代に、片岡義男的な住まいを目指したのですが、荷物が多すぎて、計画倒れに終わりました。そう、小説に出てくる人たちは、住まいも大きいのですが、ものも少ないのです。今でも、ものを減らそうという努力は続けているのですが、着なくなった服や古い本を捨てても、シューズや山の装備が増えているので、結局ものは減らず... 本題からそれました。現実の世界とは少し違うのですが、文章やもの、写真などに向かう姿勢が好きなので、今でも愛読しているのではないかと思うのです。アウトドアとは対極にあるような都会的なシチュエーションなのですが、その比日常性(小説の中ではきわめて日常的な情景として描かれていますが、現実的には非日常的だと思います。)は、山で長い時間過ごしている時の感覚と、少し近い気もするのです。もっとも、片岡さんは、山ではなく海派の様ですが。
by makani_tomo
| 2008-09-06 01:54
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