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『トップアスリートの決断』 吉井妙子

『トップアスリートの決断』 
吉井妙子
アスキー新書
743円+税

アスリートの底辺に位置するものとして、トップアスリートの練習や考え方には興味があります。もっとも、練習に関しては、レベルが違いますので、直接参考になることはあまり多くはありません。8時間練習と言われても、サラリーマンの身の上としては、現実味がありません。

どちらかと言うと、競技に対する考え方の方に興味があります。自分のパフォーマンスを上げたいという思い、怪我や故障時の苦悩には共感できますし、参考にもなります。

本書は『週刊アスキー』の連載記事をまとめたものです。様々なスポーツの第一線で活躍するアスリートが、自らの選手生活におけるターニングポイントを語っています。そして、競技に取り組む心持を語っています。多くの選手が、挫折を味わい、それまでの自分の努力を疑い、そして最終的にそこから抜け出し、パフォーマンスを上げています。この気持ちは、プロだからトップアスリートだからと言うものではないと思います。アマチュアという居心地のよさは、ともすれば自分の気持ちの弱さをごまかしてくれます。限られた時間の中で、いかに自分のモチベーションを維持して、そして自分を追い込んでいけるか。難しいのですけれども、少しでもそういうアスリートに近づきたいと思っています。
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by makani_tomo | 2007-11-26 23:51 | 読む

『藝大生の自画像』 河邑厚徳

『藝大生の自画像』 
河邑厚徳
NHK出版
2000円+税

東京藝術大学では、その前身の東京美術学校の時代から、4年生が卒業制作として自画像を描き、その作品を大学が買い上げるという制度があります。(当初は一部の作品だけを買い上げていたようですが、1902年からは全員の作品を買い上げているそうです。)1898年に始まったこの制度により(戦時中など一時期中断の時期あり)、現在、東京藝術大学は4800点を超える自画像のコレクションを所有しています。しかも、このコレクションは、原則として非公開なのです。

このコレクションの中には、後に巨匠となった画家の若き日の姿が描かれています。一例をあげると、青木繁、熊谷守一、和田三造、藤田嗣治、佐伯祐三などなど。そして、現在活躍中の千住博、村上隆の自画像もあります。

どの作品も、実に面白いです。時代背景+その時点での画風+自身のその時の心持や希望といったものがミックスされているような気がします。

実は、僕の父方の祖父も東京美術学校の卒業生です。卒業制作は、自画像のほか、自由課題の大作があります。その大作の方を祖父は長い間自宅に掲げていました。一時期一緒に暮らした時に、その絵を見て、なんと暗い雰囲気の絵なのだろうと思った記憶があります。(小学生の頃です)

しかし、今、藝大に保存されている祖父の自画像を見てみたいと思います。当時の祖父は、どの様に自身を描いていたのでしょうか。想像するに、極めてオーソドックスな技法で、真面目に自身を描いているのではないかと思います。しかし、祖父はもっぱら静物や風景を描くことが多かったので、正直言ってわかりません。

何回かに分けて、展覧会をしていただきたいものです。DVDを作っていただいてもいいですね。どうにかして、祖父の自画像を見てみたいと思うのです。
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by makani_tomo | 2007-11-21 23:05 | 読む

『食品の裏側』 安倍 司

『食品の裏側』 
安倍 司
東洋経済新報社
1470円(税込み)

著者は、長年食品添加物の専門商社に勤務し、第一線の営業マンとして、まさに「食品の裏側」を見てきた人です。自分の娘の好物が、自ら開発に係わり、そして自分や自分の家族には決して食べさせたくはないと思っていたミートボールだということを知ったことを機会に、会社をやめ、「食品の裏側」に関して、講演活動などを行うようになったそうです。

食品添加物が、なんとなく身体に良いものではないことは、多くの人は漠然と認識していても、それをどの程度積極的に避ける行動を取っているか、と考えると、少なくとも自分はあまり意識が高いほうではなかったと思います。もっとも、自分で料理を作るのが好きですから、その分外食をしたり、お惣菜を買ってきたりということが少ないので、結果的に避けていたかもしれません。しかし、自分で料理をする時に、トマトを買って来て使わず、缶詰のホールトマトを使うこともあります。サラダに市販のドレッシングを使うこともあります。塩や醤油、味噌などは生協だったり、こだわって金沢から取り寄せたりしているので、少しはマシかも知れません。

考え出すと、食品添加物を完全に避けることが如何に難しいことかが、わかってきます。それに、著者も明確に書いているように、「我々は、食品添加物によって、ある種の便益を享受している」のです。それに、目をつぶって、添加物だけを悪者にはできません。

如何に上手く、添加物と付き合っていくかが、著者の最も伝えたいことだと思います。自分の生活に合わせて、ちょっと気をつける。ひと手間惜しまない。そういうことの積み重ねなのだと思います。

帯には「知れば、怖くて食べられない」とありますが、気をつけようとはするものの、僕は食品添加物の入った食品を、食べ続けると思います。食べないで生活していくことは、現実的には懇談だからです。でも、今までよりは、気にすると思います。その意識ができれば薄れない程度に、気にし続けていければいいと思っています。

それにしても、本書の記述はわかりやすいです。書店でも良く見かけるので、一度手にとって見てはいかがでしょうか。できれば、夕食の買い物前に。
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by makani_tomo | 2007-11-13 19:15 | 読む

『テオ もうひとりのゴッホ』 M・A・オザンヌ,F・ジョード

『テオ もうひとりのゴッホ』 
マリー・アンジェリーク・オザンヌ,フレデリック・ド・ジョード  著
伊勢英子,伊勢京子訳
平凡社
2940円(税込み)

本書は、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの弟にして最大の理解者でもあったテオ・ヴァン・ゴッホに関するものです。テオの未公開書簡を資料としているため、これまで詳しく知りえなかったテオの行動や心情などが描かれています。(現在は、当該書籍は公開されているらしい。)

ゴッホがここまで話題性のある画家として評価されている理由のひとつに、彼の手による膨大な書簡の存在があると思います。非常に筆まめであったヴィンセントの(テオ宛の)書簡は、テオの手によって非常に丁寧の保管されており、後にテオの未亡人ヨーにより整理されたことによって、後世の研究者の第一級の資料となりえたのです。もちろん、研究者の資料としてだけではなく、書簡集として多くの国で出版もされており、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホという画家に、リアリティーと物語性を付加しているのではないでしょうか。

ところで、テオが兄の死後約半年で精神病院において死亡したことは、僕も知っていましたが、それ以前にも精神面の病に苦しんでいた時期があったことは、知りませんでした。実は、ヴィンセントがテオに出した数と同じくらいの手紙を、テオは兄に書いていると思われます。しかし、ヴィンセントは弟からの手紙を残していません。僅かに残っているテオのヴィンセント宛の手紙は、「テオがヴィンセントに書き送った手紙の裏に、ヴィンセントが返信をしたためたもの」なのです。もちろん、テオは母親などにも手紙を書いており、それらは残されているのですが、ほとんどが未公開となっていたため、詳細なテオの病状などは、明らかにされていなかったようなのです。

ここからは、僕の全くの想像です。蟻の世界では、2割の蟻が良く働くといいます。(会社も?)では、その良く働く蟻ばかりを集めて集団を作るとどうなるのか?やはり、2割が良く働くらしいです。非常にわかり難い比喩を持ち出してしまいましたが、要するにヴィンセントもテオも、程度の差はあれ、基本的には精神的に脆いという性格だったのではないでしょうか。たまたま、テオのほうが少し要領がよかったのかもしれません。働き始めても、金銭的に一家を支える役割を背負ってしまったテオは、兄との関係、家族との関係においては、精神面の脆さを押さえ込混ざるを得なかったのかもしれません。もちろん、そのベースには、家族への愛、兄の才能への畏敬の念があったはずです。

晩年のテオは、梅毒を原因とする精神障害に悩んでいた様です。そこに兄の死という出来事が重なり、彼の中のかろうじて保っていた精神面のバランスが、一気に崩れてしまったような気がしてなりません。テオも、兄同様戦い続けていたのかもそれません。

久しぶりに、オーヴェールの麦畑を見に行きたくなりました。

余談ですが、訳者の伊勢英子さんと京子さんも姉妹で協力して、本書の翻訳にあたったそうです。
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by makani_tomo | 2007-11-12 19:54 | 読む

『ゴッホの復活』 小林英樹

『ゴッホの復活』 
小林英樹
情報センター出版局
1700円+税

『ゴッホの遺言』,『ゴッホの証明』に続くゴッホ関連の3作目です。本書で取り上げているのは、ゴッホの作品の中でももっとも有名な「ひまわり」シリーズです。

ゴッホの「ひまわり」と言えば、バブル時代の1989年に安田海上火災が当時のレートで約58億円で購入した『ひまわり』(通称「東京のひまわり」)が有名ですが、それよりに70年近く前の1920年に日本にやってきた「ひまわり」(通称「芦屋のひまわり」)について、知っている人は少ないかもしれません。なぜなら、1945年に戦災で焼失してしまったからです。

本書は、その「芦屋のひまわり」と「東京のひまわり」について、贋作であるということを、主に造形的視点から主張するものです。加えて、やはりゴッホの代表作である「ジヌー夫人」について、オルセー所蔵の作品を贋作ではないかと主張しています。

僕にとってゴッホは好きな画家の一人なので、比較的たくさんの作品を直接見ています。これまで、アムステルダムのゴッホ美術館は2回、クレーラー・ミュラーは1回、パリのオルセーは数え切れないくらい、ニューヨークのメトロポリタンも数回訪れています。必ずしもゴッホの作品が全て展示されていたわけではありませんが、あればかなり時間をかけて鑑賞しました。日本にゴッホの作品が来た時には、ほぼ100%観に行っています。しかし、「東京のひまわり」は観たことがないのです。もちろん、「芦屋のひまわり」も。

大学に通っている頃には、ゴッホ終焉の地であるオーヴィールにも行ってみました。自殺したとされる麦畑にも行きました。ゴッホが、そこで何を感じていたのかを、感じたかったからです。

正直言って、贋作ではないかという視点でゴッホの作品を観たことはありませんでした。もちろん、贋作疑惑があることは読み聞きして知っていました。しかし、いざ作品の前に立つと、素直に作品を観ていたというのが現実です。

しかし、この著者による3部作は、あまり話題にはなっていませんが、業界では物議をかもし出したのではないかと思われます。(本書には、「東京のひまわり」の最近の写真は掲載されていません。)こうなると、「東京のひまわり」を観たくなりました。新宿なので、近いうちに時間を作って観に行ってみたいと思っています。
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by makani_tomo | 2007-10-05 01:49 | 読む

『半島を出よ』 村上龍

『半島を出よ』 上・下 
村上龍
幻冬舎文庫
上巻760円(税込み),下巻800円(税込み)

実は、村上龍さんの作品はあまり読んだことがありません。過去にベストセラーや話題になった本が数多くあるにもかかわらず、何となく手が出なかったのです。今回のこの分厚い文庫本2冊ですが、書店で平積みになっていたものを、何気なく手に取り、そのテーマ設定に興味を持ち購入したのでした。

国際関係、南北問題、わが国における格差問題など複雑なテーマを盛り込んでおり、これをどう料理するのか半信半疑な気持ちで読み始めました。状況設定には最初やや違和感を覚えたものの、読んでいるうちに、さもありなんという気がしてきます。少なくとも、現代にも既にそういう兆候は見られます。一方で、霞ヶ関の対応ぶりなどは、現在とあまり変わっておらず、このあたりは意図的にそうしたのか、それともあまり注力すべき点でないということでしょうか。

著者の他の作品をあまり読んでいないので、局所的にディテールを深く掘り下げる書き振りが、通常のものなのかどうかはわかりませんが、個人的にはやや冗長な気がしました。表現のディテールさも、場面によってはちょっと...というところもあります。しかし、複雑なテーマをある仮定の元に組み合わせ、ストーリーを構成しており、下巻に入ることにはすっかり引き込まれていました。

ちょっと、的外れな感想かもしれませんが、真っ暗な山道をひとりで歩くことも、何度か経験すれば少しは慣れるのと同じく、タフに交渉すること、危機に直面した時の対処など、やはり慣れや経験が必要なのは確かかもしれません。そういう世の中でありたくはないとは思うものの、せめて自分はいざというときに身体を動かせるようにしておきたいなと思うのでした。
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by makani_tomo | 2007-09-11 10:01 | 読む

『聖灰の暗号』 帚木蓬生 

『聖灰の暗号』上・下
帚木蓬生
新潮社
各1500円+税

書籍の増加に歯止めをかけるべく、以前は全く制限していなかった書籍の購入を、ここ1年厳しく制限しています。特に、将来的に文庫本になる可能性のある書籍については、原則購入しないことにしている....のですが、買ってしまいました。

帚木蓬生さんの作品は好きなんですよ。特に、歴史とミステリーを融合させた作品(『総統の防具』など)が好きです。夏休みだからいいかって言う、わけの分からない理由で購入してしまいました。

やはり面白かった。タイトルから、キリスト教の関する話だということは分かりましたが、カタリ派だとは。ピレネーの山を越えるシーンなど、う~ん行ってみたい!と思いました。

帚木蓬生さんと同様に佐藤賢一さんの作品も好きです。佐藤賢一さんにも、カタリ派の悲劇を題材にした『オクシタニア』という作品があります。こちらも、面白いです。

足の腫れは引いてきたのですが、まだ右足首の捻挫が完治していません。ランニングできない間は、ジムでバイクでもこぎながら、読書でもしようかなと思っています。
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by makani_tomo | 2007-08-13 14:50 | 読む

『登って 写して 酔いしれて』 武藤昭

『登って 写して 酔いしれて 山岳映像カメラマンの50年』 
武藤 昭
白山書房
1800円+税(図書館で借りたのでタダ)

山岳写真や映像で有名な武藤昭さんが、『山の本』に連載していた随筆を再構成した本です。写真や映像を見たことはあったのですが、RCCⅡの会員にして、相当本格的なクライマーであることを実は知りませんでした。

しかし、この世代(から上)の人は、今の若者と較べると早熟ですね。山に対する向き合い方のみならず、生活全般において、実に真剣であったりシニカルであったり。自分の親などは戦前生まれで、子供の頃に戦争を体験しているので、やはりそういう影響があるのでしょうか。ちなみに武藤さんは1940年生まれなので、最後の戦前生まれです。

メスナーの映像を撮っていたとは知りませんでした。観てみたいなぁ。彼のトレーニングの撮影時、取材陣が2時間で登るところを、わずか45分で登ったとか。まるで、山岳マラソンの様です。実際、ツール・ド・ヒマラヤなんていう山岳レースがあったら、ダントツだったかもしれませんね。
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by makani_tomo | 2007-07-19 23:53 | 読む

『劒岳<点の記>』 新田次郎

『劒岳<点の記>』 
新田次郎
文春文庫
650円+税

久しぶりに、新田次郎の『劒岳<点の記>』を読み返してみました。今回は、地図を片手に柴崎芳太郎の軌跡をたどりながら読んでみました。かつて読んだ時は、なんとなく山をイメージしながらだったのですが、今回は同じイメージでもかなりリアルです。

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残念ながら劒岳には行かないのですが、立山付近には来月行く予定があります。柴崎の頃とは道の整備状況もまるで違うはずですが、山からの風景は、概ね同じでしょう。そう思うと、何だか楽しくなってきます。山好きの人の中には、三角点を見つけて歩く人がいると聞きますが、それもなるほどわかる気がします。

そのうち、ゆっくり登り、山頂でゆっくり過ごす山行をしてみたいものです。いましばらく、お預けですけど・・・
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by makani_tomo | 2007-07-19 00:13 | 読む

『K2 非情の頂』 ジェニファー・ジョーダン

『K2 非情の頂』 
ジェニファー・ジョーダン
海津 正彦 訳
山と渓谷社
2400円+税

かなり前に買って、途中まで読んだのだが、途絶えてしまっていた本を再度最初から読み始めました。

テーマはK2と女性クライマー。本書の執筆のきっかけになったのは、1998年にK2の登頂に成功した女性クライマーの最後のひとりシャンタル・モーデュイがダウラギリで亡くなったことにあります。そこから著者は執筆の準備を始めたわけですが、2004年時点でもなお登頂に成功した女性クライマーはわずか5人。そのうち3人は、下山途中に亡くなっています。たしかに、非情の山かもしれません。

本書は、その5人の女性クライマーの生い立ちや、登山に魅了されたいきさつ、その後の山行などを丁寧に、かつ割合ストレートに綴っています。しかし、物語の根底には、女性ゆえの悲哀があります。少なくとも当時としては、女性が男性に伍して8000m峰に登ることには、相当な困難があったようです。

いずれにしても雪のない3000m程の山にしか行かない僕には、想像を絶する世界なのですが、危険と知りつつも、そこに魅せられる人たちの気持ちは少し判るような気がします。高いところがあったら、登ってみたくなるのは、人間の本能的な欲望なのではないでしょうか。

その後、2004年7月26日、スペインはバスク地方出身のエドゥルネ・パサバンが女性として6人目の登頂に成功しました。そして2006年8月1日には、東海大学遠征隊の小松由佳さんが、7人目の登頂を果たしています。

エベレストに較べ、登頂者が少ないのは事実ですが、過去の経験や登攀道具の進歩によって、成功率は徐々に上がるのでしょうか。自分には縁のない世界とはいえ、BCくらいまで行って、その姿を見上げてみたいものだと思いました。
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by makani_tomo | 2007-07-06 23:10 | 読む



走って、飲んで、そして読んでおります。
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