走る!飲む!読む!

カテゴリ:読む( 106 )

『神の手』 パトリシア・コーンウェル

『神の手』 上・下
パトリシア・コーンウェル
相原真理子 訳
各714円(税別)

コーンウェルの最新作です。

検屍官シリーズが始まったのは1990年ですから、もう16年目に入っているのですね。この間14作を発表しています。全ての作品を読んでいますが、だんだんメンタルな面の比重が多くなってきているようです。犯罪のケースだけを並べ立てていても、飽きてしまうだけですから、徐々に心理面に重きを置いてきているのでしょうね。ただ、その分話が複雑になる傾向にある気がします。

とはいえ、検屍官シリーズがここまで人気を保ち続けている理由のひとつは、主人公のスカーペッタはじめ、マリーノやルーシーなど登場人物が、その優秀な才能を発揮しつつも、人間臭い側面を、それぞれの弱い側面を描いているからだと思うのです。

この作品は、かなり後になるまで、結末がわかりませんでした。なんというか、最後の最後になって、畳み掛けられる感じです。しかし、怪しい人物は特定できていました。この構成には賛否両論かもしれません。僕は、もう少し途中段階からドキドキさせる展開が欲しいかな。わがままでしょうか。でも、一気読みしてしまいましたよ。
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by makani_tomo | 2006-01-07 02:54 | 読む

『駅伝がマラソンをダメにした』 生島淳

『駅伝がマラソンをダメにした』 
生島淳
光文社新書
700円+税

お正月の定番スポーツというのがいくつかありますが、「箱根駅伝」はそのベスト3いや知名度ではベスト1かもしれない。しかし、その箱根駅伝があまりに有名になるが故に、日本男子のマラソンが弱体化していると主張するのが、本書である。

著者は、博報堂で働いた経験のあるスポーツジャーナリストです。広告会社ならではの視点が、本書にも大いに盛り込まれています。というのも、現代のプロ(あるいはメジャーなアマチュア)スポーツ大会を語る上において、広告会社の存在(=コマーシャリズム)は、避けて通ることができないからだ。

本書の主張は、箱根駅伝を日本テレビが全国ネットで中継し始めてから、出場校は自校の知名度(=大学としての収入)を上げるために、箱根駅伝を重視し始めた。高校中距離界のエースを、次々とリクルートし、平均20キロの距離を走る駅伝選手に育て上げ、その結果選手は大学を卒業すると、「燃えつき現象」を起こし、より距離の長いマラソンに対する意欲を示さない。

なるほど、と思う主張もあるが、あまり同感できない部分もある。確かにマラソンは駅伝よりも国際的な種目ではあるが、それはスポーツとしての優越を示すものではないのだと思う。もっとも、テレビ中継による影響は否定しないのだが。

駅伝を甲子園にたとえる部分があるが、たしかにそれは言える。故郷を背負っていると言う意識と、甲子園に出場するために他県への留学が頻発する現実。しかし、選手の精一杯の姿に、感動する人々の気持ちには、コマーシャリズムはあまり関係ないような気がするのだ。

そして、今日も箱根駅伝観ました。やはり、それぞれの選手ががんばる姿は、観ていて感動するものがある。もちろん、勝負はチーム全体での成績なのだが、一人ひとりが自負を持って、自分の記録に挑戦していることは間違いないと思う。

大学卒業後に、駅伝選手がマラソンに移行できるか否かは、その後の環境に寄るところが多いのではないだろうか。きっと、良い指導者、良い環境に恵まれれば、マラソンで大成する選手も出るに違いない。そう思いたいな。
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by makani_tomo | 2006-01-03 01:51 | 読む

『マオ 誰も知らなかった毛沢東』 ユン・チアン,ジョン・ハリディ

『マオ 誰も知らなかった毛沢東』 
ユン・チアン,ジョン・ハリディ
土屋京子 訳
講談社
各2200円(+税)

上下巻合わせて1000頁を上回る大作だが、一気に読んでしまった。朝の通勤電車の中でもつり革につかまりながら、読み進めていた。

読みながら覚えた感覚は、「驚愕」という表現が一番近いだろう。毛沢東について、かなり薄い知識しか持っていなかったのだが、まさかこんな人物だったとは。本書の描き出す毛沢東を表現するキーワードは、「利己的」、「残虐」、「保身」、「贅沢」、「不遜」、「不潔」、「偏狭」、「狂気」などありとあらゆる人間の負の面を表現する言葉が続く。

著者のユン・チアンは、ベストセラーとなった『ワイルド・スワン』の著者として有名だが、本書を書くに当り、膨大な資料を発掘し、毛沢東を知る、あるいは同時代に生きた多くの人びとにインタビューを行っている。そうして、隠されていた事実を、ひとつひとつ掘り起こして綴っている。

文化大革命に関する記述など、読むに耐えない事実も、坦々と記されている。その冷静な書きぶりが、リアリティを更に増す効果をもたらしている。

正直言って、怖い本だった。しかし、読み始めたら、止められない本でもあった。今年読んだ多くの本の中でも、ベスト3に入ることは間違いないだろう。

という僕の評を読んで、興味をもたれた方は、是非読んでいただきたい。同じ読後感を持ってもらえるのではないかと思う。
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by makani_tomo | 2005-12-24 00:30 | 読む

『ダイアモンドヘッドの虹』 夏樹静子

『ダイアモンドヘッドの虹』 
夏樹静子
文春文庫
500円(税込)(1993年当時)

ハワイに行く直前に、図書館で借りました。見ての通り、安易な選択です。
お気軽な本も好きなんですよ。

バブル期にハワイの不動産への投資を背景に、殺人事件が起こり、それを解決する脇で恋愛が育まれるというお話。2時間ドラマそのまま脚本になりそうです。
あまり、難しいことを考えずに読めるので、仕事で疲れた通勤帰りなどにはちょうど良いです。
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by makani_tomo | 2005-12-17 01:26 | 読む

『路上観察で歩くパリ』 稲葉宏爾

『路上観察で歩くパリ』 
稲葉宏爾  
角川書店 角川oneブック 
930円(税込)

 パリの街に見られるちょっとしたものを、取り上げて紹介するコラム集です。

 もともと、90年代前半にパリの日本人向けタウン情報紙『OVNI(オヴニ)』に連載されていたコラムに加筆修正したものをまとめたのだそうです。ちなみに、『OVNI』は月2回各6万部発行されているそうですが、うち35000部はフランスで、5000部はベルギーで、残りの25000部は日本で配布されているそうです。

 パリは、僕にとっては海外の街の中ではもっとも馴染み深い街です。というのも、僕が大学生の頃、両親が転勤で住んでいまして、僕は休みのたびに実家(=パリ)に出向き、そこを基点にヨーロッパの様々な都市を巡っていたのです。その間、ソルボンヌのフランス語学校に通ったり、祖母の看病のために日本に帰った母の替わりに、パリの家の家事をしたりと、随分長く過ごしました。おかげで、主だったところには地図を見ずに行くことができます。

 ホノルルからの帰国の飛行機の中でこの本を読みました。かる~く読んでしまったので、本は母に渡してきました。母にとっては、海外=パリです。懐かしそうに読んでいました。また、両親を連れて、パリに旅行に行きたくなりました。いや、パリでマラソンに出場しますか!?
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by makani_tomo | 2005-12-17 01:14 | 読む

『国家の品格』 藤原正彦

『国家の品格』 
藤原正彦 
新潮選書 
680円(+税)

 ホノルルに向かう飛行機の中で読みました。

 山岳小説家新田次郎を父に持ち、戦後の大ベストセラー「流れる星は生きている」を書いた藤原ていを母に持つ著者は、数学者にして洒脱なエッセイを得意としてきました。僕もかなり昔『若き数学者のアメリカ』などを読んで、アメリカ留学にあこがれたものです。

 数学者と言う職業は、きわめて論理的な世界に思えます。もちろん、数学自体は論理構成の中に成り立っている学問なのですが、それを研究する人間(数学者)は、必ずしも論理的な思考だけでは大成しないようです。

 本書は、著者の講演を書籍に直したものですが、主張は以下の通り。
・日本は、アメリカ的な品格の無い国家になりつつある。
・そのためには、日本人が論理と合理性だけではない、
 情緒と武士道に基づいた行動をとるべき。
・教育においても、小学生が学ぶべきことは、英語ではなく国語と歴史である。
・優れた科学者をはぐくむためにも、美的な感覚を養う教育が必要。
などなど。

講演がベースなので、やや厳しい表現も見られますが、
純粋な論理の世界に生きている数学者から、論理だけでは駄目だと言われると、妙に説得力があります。一方で、一般的な論調にはある部分対立した意見を強く述べているので、拒絶反応を示す人もいるかもしれません。

個人的には、彼の意見に組するところは大です。(全てではないですが。)
英語は所詮、コミュニケーションの道具なんだよな...と思います。
がしかし、その道具を上手く操れない自分がいて、なんだか負け惜しみみたいなのも癪だなと思ったりもします。

でも、きっとホノルルマラソンを走った後に、走る楽しさを英語で伝えることは出来るだろうな。
きっと、好きなこと、関心のあることなら、何とかなるんだよね。
もっとも、ホノマラは日本語で全て出来てしまうんですよね....
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by makani_tomo | 2005-12-16 09:59 | 読む



走って、飲んで、そして読んでおります。
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