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『荒野へ』 ジョン・クラカワー

『荒野へ』 
ジョン・クラカワー
佐宗鈴夫 訳
集英社文庫
667円+税

映画を観て興味を持ったら、可能な限り原作を手に入れて読んでいます。例えば、ブラッド・ピットが主演した『セブン・イヤーズ・イン・チベット』は、映画を観てとても興味を持ち、白水社から出ている原作を買い求め、読み、さらに感動を深めました。その年のクリスマスには、仲の良い友人たちに、その本をプレゼントしたくらいに。

さて、本書も先日映画を観て、興味を持ち、その日のうちに原作を買い求めました。

<映画を観る予定の方は、これ以上、読まないでください。>























想像はしていましたが、原作には映画で描かれていないところがたくさんありました。具体的には、映画で描かれているよりもはるかに色々な土地を回った末にアラスカに行っているようです。とはいえ、映画でも、ポイントはちゃんと掴んでいます。しかし、各地で働きながら少しお金を貯めては、ヒッチハイクで移動するという生活を続けていたようです。

実は映画を観て不思議に思っていたのは、なぜあんなところにバスが乗り捨てられていたのかということです。乗り捨てられたとはいえ、その場所までバスが来たわけですから、荒れているにしても、それなりの道が残っているはずです。一度、街に帰ろうとして川に阻まれて、バスに戻ったわけですが、その時になぜ東に向かう道(スタンピード・トレイルというらしい)を辿ろうとしなかったのでしょうか。事実、原作者のクラカワー氏を含め大勢の人が、オフロード車でこの道を使ってバスを訪れているようです。(クリスの両親は、ヘリで訪れたようですが)本書では、バスがその場所にある理由が、ちゃんと書かれています。なるほど...

本書では、かなりショッキングな事実も明らかにされています。彼が街に戻ろうとして阻まれた川(テクラニカ川)は、雪解けが進むと水かさが増えて激流になるのですが、それでも多少は渡りやすいポイントはあるようです。事実、彼が渡ろうとしたポイントから1マイルほど歩けば、比較的渡りやすいポイントがあったようです。更には、それよりも近くに、アメリカ地質調査所によって川の間にケーブルが張られており、しかもそのケーブルには人が乗れるゴンドラが付けられており、当時はバス側にゴンドラがあったとのことです。彼が、もう少し川に沿って歩いていたら、無事に渡ることができたかもしれないのです。

どうやら、彼は詳細なアラスカの地図を持っていなかったようなのです。普通の感覚では考えられないことなのですが、彼は当初戻るつもりがなかったので、あえて地図は持たなかったのでしょう。自分も、彼とは動機が違うものの、冷静に考えれば無謀とも思えることをしてきているので、多少は理解できるところはあるのですが、やはり決定的に異なるのは、「戻る」という意識なのかもしれません。

いろいろな意味で、興味深い本でした。そして、You Tubeでは、クリスに関する映像が多数掲げられています。彼が持っていたカメラに収められていた写真もいくつか見ることができます。アラスカのバスは、若者にとっての、ちょっとした聖地になっているようです。自分の中でも完全に消化されていないのですが、考えさせられる映画と原作でした。映画で興味をもたれた方は、原作も読まれることをお勧めします。
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by makani_tomo | 2008-10-04 00:43 | 読む
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