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TJAR2008(トレーニング編)

TJARに参加し、完走するためには、どの様なトレーニングが必要なのでしょうか。トレーニングの種類や負荷のレベル、頻度などは、その人の体力や過去の運動履歴、使える時間などによっても変わってくるので、一概には言えません。各人が、自分に合ったトレーニングのメニューや回数を考える必要があるのだと思います。しかし、ごく普通か普通より少し上くらいの体力レベルの41歳の男性が、どの様なトレーニングを行い、TJARを目指したかを読んでいただくと、その中に少しは参考になることがあるかもしれません。

<2004年以前>
まずは、運動に関して、僕がどの様な経歴なのかを知っていただくと、僕の運動能力レベル、体力レベルがわかってもらえると思います。

・小中学校は、サッカー。(当時の大阪では珍しい。)
・高校は、オーケストラ。(つまり、運動せず。)
・大学では、弓道。(つまり、ほとんど運動せず。)
・社会人になってからは、一時期ゴルフにはまる。(下手なので、芝生の上を走るトレーニングにはなったか?)

<2005年>
・12月のホノルルマラソンを目指して、夏ごろからぼちぼち走り始める。
・11月の光が丘ロードレースが初レース。20kmを1時間37分39秒。膝を痛める。
・初フルのホノルルマラソンは、ボロボロになりながら4時間33分28秒。
・大晦日に、高尾山で初トレイル。

<2006年のトレーニング>
膝が痛くて走れないので、会社の非常階段(1,224段,約226m)を歩いて昇るトレーニングを開始しました。6月くらいまでは、ほとんど走っていません。非常階段を1日4~5本歩いて昇るのみでした。

4月の青梅高水山トレイルランで、トレイルレース初参戦です。3時間6分3秒というタイムで、階段トレーニングは効果ありと実感しました。

6月下旬に第1回の「おんたけスカイレース」に参加し、基礎的な走力の足りなさを実感し、トレッドミルでの高傾斜走を開始しました。7月以降の平均的なトレーニングは、以下の通り。

・高傾斜走(10%×8km/hで4km+10%×10km/hで1km)
・階段昇り(3~4本)
・週末は、10~15kmのLSD


8月には奥武蔵ウルトラマラソンに参加し、7時間51分21秒で完走しました。1歩も歩かずに完走できたことで、高傾斜走の効果を実感しました。

山耐に向けても、日常のメニューはほぼ同じでした。ただ、週末に試走などに山に行く機会が増えました。10月の日本山岳耐久レースは、直前に痛めた膝をかばいながらも13時間12分3秒で完走。

秋以降、膝が痛くてなかなか走ることが出来なかったのですが、非常階段のトレーニングは続けました。また、奥武蔵の山を歩いてリハビリを行っていました。なんとか走れるようになった後、11月のつくばマラソンでは、3時間24分7秒。これが今でもフルマラソンの自己ベストです。

<2007年夏までのトレーニング>
1月から高傾斜走の負荷を上げました。基本的なメニューは以下の通りです。

・高傾斜走(15%×8km/hで2km+10%×10km/hで3km)
・階段昇り(3~4本)
・週末は、20km前後のペース走かたまに奥武蔵でのトレイルラン


長距離・長時間に身体を慣らすため、2月の青梅マラソンでは、往復共に走り、計90kmのトレーニングを行いました。5月のTTR100では、25時間42分8秒のタイムで総合6位でした。しかし、高橋香さんがお亡くなりになるなど、喜びも半分の結果でした。

TTR100で、また膝を痛めたので、箱根トレイルやサロマはDNS。ひたすら非常階段でのトレーニングです。まともに走り始めたのは6月中旬でした。

<夏のアルプス詣で>
7月下旬にはTJARの選考会Aに参加しました。序盤のトラブルで、踏み跡不鮮明なトレイルにひとりで入ることになり、度々コースを見失い、無駄な体力を消耗し、集中力を失い、そして気持ちが切れてしまい宝剣山荘の関門に引っかかり、タイムオーバーでリタイアという苦い経験をしました。アルプスは2度目だったのですが、自分がいかに山に慣れていないかを思い知らされる結果となりました。このままでは1年後のTJARに出場することはできないと思い、可能な限りアルプスに通う計画を立てました。

8月上旬に予定されていた選考会Bが順延となったため、ひとりでコースをたどりました。夜間、雨、ガスという悪条件の中、地図とコンパスを頼りにひとりで進むという経験は、非常に良い経験になりました。

8月中旬には、中央アルプスで選考会Aの復習を、8月下旬には北アルプスで西鎌尾根を中心に復習を行いました。

9月中旬には、南アルプスの試走を行いました。市野瀬~畑薙という本戦と同じルートを、本戦に近い装備でたどりました。この時に、ザックやシェルター、ウェアや食糧計画など様々な試みを行いました。これは、非常に良い経験になったと思います。

<2007年秋以降のトレーニング>
秋以降は、少し走行距離も意識して伸ばしています。以下、平均的なメニューです。

・高傾斜走(15%×8km/hで2km+10%×10km/hで3km)
・低傾斜走(3%×12km/hで3~5km)
・階段昇り(3~4本)
・金曜日の夜は帰宅ラン(20~30km)
・週末は、20km前後のペース走


11月にはビバークできる装備を背負い、自宅から青梅まで約30km走り、鴨沢まで向かう途中、大ダワ近辺で雨の中ビバークするというビバークトレーニングを行いました。標高2000mに満たないとはいえ、11月の雨中でのビバークは、寒くて寒くて辛いものでした。寒い中じっとしていることで筋肉が硬直するデメリットを考えると、ゆっくりでも動き続けた方がいいかもしれないという気もしました。

<2008年のトレーニング>
基本的なメニューは、あまり変わっていません。高傾斜走と非常階段がメインです。

・高傾斜走(15%×8km/hで2km+10%×10km/hで3km)
・低傾斜走(3%×10~12km/hで5km)
・階段昇り(3~4本)
・2月末まで金曜日の夜は帰宅ラン(20~30km)
・週末は、20km前後のペース走


3月には、夜間を含めて長時間走り続けることを目標に、24時間走に参加しました。150km走ろうと決めていたので、22時間11分で終了としました。

5月には、「みんなでTTR100」です。やはり、超距離・長時間のトレイル練習という位置付けでした。雨と雪には参りましたが、25時間51分で完走。

6月は、TJARのロード区間を想定して、野辺山ウルトラマラソンに参加です。アップダウンもちょうど良い練習になるだろうと思い、約6kgのザックを背負い、トレイルのシューズを履いての参戦。11時間26分23秒で無事完走することができました。結果的に、TJAR本戦でロードを走ることは、ほとんど無かったのですけどね!(次回出場したら、少しは走りたいものです。)

この様に、特に2008年に入ってからは、全ての練習やレースをTJARに焦点をあてたものにしました。

<低酸素室でのトレーニング>
実は、2007年の夏から新しいトレーニングを取り入れていました。このブログでも、「秘密のトレーニング」として時々書いていました。実際にお会いした方にはお話していましたし、想像されていた方も多いのですが、「秘密のトレーニング」とは低酸素室でのトレーニングのことです。(このトレーニングを紹介してくれた関根先生の奥様であるトライアスロンの関根明子選手が、ご自身のブログで「秘密のトレーニング」と書いていたこともあり、僕もあえて秘していました。関根選手も今シーズン限りで引退を表明されたので、もう解禁でしょう。)

低酸素室とは、文字通り酸素濃度を低く調整した部屋です。酸素が薄い状態、つまり標高が高い状態でトレーニングを行うことにより、血中のヘモグロビン量が増え、酸素を効率よく取り込むことができるようになります。また、低酸素状態での呼吸方法などを習得できます。具体的なトレーニングメニューとしては、標高3500m前後の酸素濃度状態でのトレッドミルによる高傾斜走のインターバルです。

この低酸素トレーニングを07年夏ごろから、月に2~3回程度行っていました。そのためか、試走、選考会、本戦を通して、いわゆる高山病の症状には全く悩まされませんでした。冬の間は、時間が取れずお休みしていたのですが、08年春からは再び低酸素室でのトレーニングを開始しました。

7月はより本番に近いトレーニングとして、重りを入れたザックを背負い、15%の傾斜でひたすら歩き続け、その間徐々に酸素濃度を薄くしていくというメニューを取り入れました。40~60分間続けるのですが、これは、効果があったと思います。

この低酸素トレーニング、安くはないのですが、短い時間で効率的にトレーニングすることは出来ると思います。また、標高3500m前後の酸素濃度に慣れることは、TJAR完走という目的に役に立ったと思っています。もっとも、富士登山競走の様に、短時間に高度を上げる場合には、より効果が期待できると思います。

<階段トレーニングのバリエーション>
春以降は、非常階段でのトレーニングのバリエーションも増やしました。ひとつは、毎日1本は下りも行うようにしたこと。もうひとつは、総重量9kg程のザックを背負うことです。

非常階段という性格上、途中階で人が階段室に急に入ってくる可能性があるので、走って下ることは今まで行っていませんでした。(以前、ぶつかりそうになり、危なかったことがあったのです。)しかし、下りの筋肉を鍛えるためにも、やはり取り入れたほうがいいだろうと思い、夜遅い時間を中心に、下りのトレーニングも行うようにしました。

また、9kgのザックを背負ってのトレーニングは、より本番に近い状況を想定してのことです。もちろん、使うザックも本番で使ったものと同じです。2Lの水のペットボトルを4本詰めて、昇り下り共に行いました。このトレーニングも効果があったと思います。

<今後のトレーニング>
走ることを始めてから、膝を痛めては治し、また痛めては治しの繰り返しでした。そういう状態にあって、継続して続けてきたトレーニングは、非常階段でのトレーニングです。僕の、現在の脚力を作ったのは、非常階段だと思っています。また、走ることが出来る時には、高傾斜走を積極的に行いました。まだまだ、走力が高いとは言えないのですが、TJARに参加する最低レベルの走力までは高めることが出来たようです。この2つが、今後もトレーニングの中心になると思っています。これならば、平日に行うことができるからです。

加えて、可能な限り山でのトレーニングも増やしたいものです。限られた週末の時間をどの様に使うか、容易なことではないのですが、やはり山で強くなるには、山に足を運ぶのが王道だと思います。特に下りでのスピードアップは、なかなか山でないと鍛えることが出来ないのではないかと思っています。

低酸素室でのトレーニングも、定期的に続けていきたいと思っています。低酸素状態でのトレーニングという要素に加えて、ここ1年以上自分の体力レベルを、客観的に見続けてくれているトレーナーの存在は非常に意味があると思っています。

少しは参考になりましたでしょうか。1224段の階段は、なかなかありませんが、10階建てのビルでも昇り下りを繰り返すと、同じ効果は得られると思います。このトレーニングは、特にTJAR向けではなく、トレイルランニング、ひいてはランニング全般に効果があると思っています。しかし、僕の場合スピード練習はほとんどしていませんので、山耐で10時間以内を目指すとか、フルマラソンでサブ3を目指すというのであれば、また違うメニューが必要になると思います。あくまでも、それなりの速度で長く登り続ける、長く動き続けるということに主眼をおいたトレーニングであるとご理解ください。

<選考基準引き上げ?>
しかし、次回のTJARの参加希望者はずいぶん増えるのではないかと予想されます。想像でしかないのですが、選考基準が引き上げられる可能性もあります。例えば、今年の選考会Aの選考基準は13時間13分となっています。次回は12時間程度に引き上げられるかもしれません。(あくまでも、可能性です。)その場合、ある程度のスピードも要求されることになります。今回、僕でも11時間半を切っていますから、もしかすると11時間まで引き上げられる可能性もあります。個人的には、TJARがスピードレース化して欲しくはないと思っていますが、「選考」により人数を絞るためには、基準の引き上げも仕方ないのかもしれません。ですから、2年後に向けては、基礎的な走力をさらに高め、選考会Aで11時間以内。選考会Bでも20時間以内で完走できる実力をつけないと、参加自体が難しいかもしれません。

<山での活動ということ>
スピードもある程度必要なのですが、標高の高い山岳エリアでの活動技術もそれ以上に必要と思われます。僕自身、十分な経験が備わっているとはいえないと思っています。大雨の西鎌尾根、夜間ガスに巻かれるなど、雷以外の経験は大概しているつもりですが、今後どの様な状況に遭遇するかはわかりません。

基本的には、様々な状況を想定した最低限の装備を持ちつつ、山により多く入り、様々な経験を繰り返すしかないのだと思っています。今回も、山の経験が長い人の所作は無駄が無いな...などと感心したものです。アルプスに夏装備で入ることの出来る期間は長くありません。次回の参加を考えておられる方で、アルプスでの登山の経験が少ない方は、来年は夏を中心に、時間の許す限り通われることをオススメします。同時に、装備や食糧などの試行錯誤を行うと良いと思います。結局山に入ることが、もっとも良いトレーニングということでしょうか。
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by makani_tomo | 2008-09-03 14:39 | TJAR
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