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『ニュルンベルク・インタビュー』 レオン・ゴールデンソーン

『ニュルンベルク・インタビュー』 上・下
レオン・ゴールデンソーン 著
ロバート・ジェラトリー 編・序文
小林等 高橋早苗 浅岡政子 訳
河出書房新社
各2400円(税別)

話題になっている本です。
新聞や雑誌の書評を読まれた方も多いのではないでしょうか。



著者のゴールデンソーン氏は、第2次世界大戦後のニュルンベルク裁判中に、収容所付き精神分析医を勤めた人物である。その間、被告である多くの重要人物と面会し、様々な話をし、それを記録に残したのである。

彼の役割は、被告の精神的状態を健康に保つことであり、そのためしばしば被告を監房に訪ね、たわいも無い話も含め、多くの時間を被告と過ごしたのである。そして、彼との話は検察の取調べではないため、(とはいえ、彼もアメリカ陸軍の人間なのだが)被告も比較的リラックスして話していたようである。

その様な状況の中で、多くの被告は、自分の犯した罪を、ヒトラー、あるいはヒムラーからの命令に従ったまでであり、それに逆らうことはできなかったと語り、ユダヤ人の虐殺については詳しく知らされていなかったというのである。少しでも、自分の罪を軽減しようとする意識が読み取ることができる。

ただ、多くの被告に共通した意見が、ヒトラーには天才的な才能があったという点である。例えば陸軍元帥だったヴィルヘルム・カイテルは、「私に言わせれば、彼は天才だった。すぐれた才能を何度となく発揮した。」と語っている。こういう状況に置かれてもなお、こういう意見を持っている人物が多いということは、やはり本当に「天才的な部分」があったのかもしれない。ただし、その才能の使い方は、よろしくなかったのだが。

多くの被告が、どこかで自分をかばおうとする中で、アウシュヴィッツ強制収容所の所長を務めたルドルフ・ヘースは異色だ。彼は自分の行っていたことを、正しく認識していた。もちろん、命令に従ったのだということも主張しているが、それでもなお、自分のしたことは正しいことではなかったし、罰を受けるべきだと認識している。極めて冷静に当時のこと、そして今の状況を認識し、語っているのである。基本的には、正直で有能で、そして善良な人物なのではないかと思う。おそらく、官吏として成功する人物だろう。しかし、戦争という状況は、そういう人物を「忠実に命令を遂行する収容所の所長」に変えてしまうのだ。恐ろしいことだ。



今度、東京裁判の記録、あるいは被告の証言等を読んでみようかと思いました。その時、何を考え、そして何を思ったのでしょうか?本書もやや重い本ではありますが、それだけの価値はあると思ったのでした。
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by makani_tomo | 2006-01-26 02:57 | 読む
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