走る!飲む!読む!

『凍』 沢木耕太郎

『凍』 
沢木耕太郎
新潮社
1600円+税

山野井泰史シリーズ第3弾です。僕は割合凝り性でして、興味を持つとググッと掘り下げてみたくなります。第1弾は、山野井さん自身が書いたもの、第2弾はライターが自身の視点を通して描いた山野井像、そして今回はベテランのノンフィクション作家が描く山野井像です。

沢木さんの作品をすべて読んだわけではないのですが、さすがに文章、構成が上手です。登山に関する予備知識が無い人にもわかるように解説を交えながら、しかも解説的な部分を必要最小限に留めて、物語をすすめていきます。

文章に作者自身の存在を感じさせないところが、特徴と言えば特徴でしょうか。その分、読者は山野井さんと直接対峙している感覚を持つことができます。

『情熱大陸』ほどドラマチックに描くことは無いけれど、山に立ち向かう山野井さんの心持ちが、素直に伝わってきます。冷めすぎず、熱すぎずの一定のトーンを保ちつつ、読む人を引き込む文章というのは、なかなか書けるものではないです。

文章論になってしまっていますが、本書で取り上げているギャチュンカン登頂とその後の経緯については、事実としては既に知っているわけで、それをどう表現するかに興味の比重が移っていたのです。

実は、僕が山野井さんを素敵だなと思っている一面は、山を登っている山野井さんもさることながら、次の山を構想しながら奥多摩の家のコタツで雑誌を読んでいる山野井さんの姿にあるのです。僕自身、山に惹かれはじめて、今度はどこに行こうかなと地図を眺めている時間が好きなので、そういう自分と重なるところを見出して、喜んでいるわけなのです。
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by makani_tomo | 2006-12-07 00:58 | 読む
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