走る!飲む!読む!

『女教皇ヨハンナ』上・下 ドナ・W・クロス

『女教皇ヨハンナ』上・下 
ドナ・W・クロス 
阪田由美子訳 
草思社 
各1900円(税別)

まずは、面白かったです。
かなりの勢いで、読破しました。

そもそも、史実にある程度基づいたフィクションというのが好きです。
史実の人物といっても、誰もが知っている人物に新しい解釈を与えるというのもなかなかなのですが、どちらかというとあまり注目されない、しかし特異な人物に着目し、その人となりを与える作品が好きです。
例えば、佐藤賢一さんの『双頭の鷲』など面白かったな。

この作品もどちらかと言うとそれに近いかな。
いや、むしろトレイシー シュヴァリエの『真珠の耳飾りの少女』にも近いかもしれません。こちらは史実の人物ではなく、絵画の中の少女に物語性を与えているのですが、女性の気持ちの機微や恋愛性を加えている点が、近いかもしれません。
このあたりが、作品自体をやや線の細いものにしているという指摘はあるかもしれませんが、それを差っ引いても、充分に楽しめました。

あとは、この史実(らしき)ヨハンナについて、読者がどの程度リアリティを持てたかでしょう。作者はそこを補うために、公式の記録上抹殺されているヨハンナの、断片的な記録をいくつか上げています。
歴史、特に正史と呼ばれるものの多くは、勝者の残した歴史です。ヨハンナが存在した事実が、バチカンの正史に残っていなかったとしても、驚くにはあたらないと思います。むしろ、当時の社会的、宗教的な状況では、当たり前とも言えます。
しかし、表があれば必ず裏もあります。こちらには、敗者でありながらも、民衆かあるいは誰かの心に強く刻み込まれた記憶が描かれています。日本でも平家の落ち武者伝説や、義経伝説など、敗者に関する話が伝説・伝承として残っています。そして、それらは、とてもよい小説の題材になるのです。

単行本で買うと高いので、中古本か文庫になるのを待っても良いかもしれません。または、映画化が決定しているそうなので、それを待つのも良いかも。
[PR]
by makani_tomo | 2006-01-13 15:22 | 読む
<< アウトレットで手に入れたもの おろし納豆しらす小葱添え >>



走って、飲んで、そして読んでおります。
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧