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『役行者と修験道』 久保田展弘

『役行者と修験道』 
久保田展弘
ウェッジ選書
1400円+税

ここのところ、大峰奥駆道に心を奪われています。古くから修行に使われた信仰の道であり、2004年7月には世界遺産にも登録されています。(正式には、「紀伊山地の霊場と参詣道」)この道を走ってみたい。どういうきっかけなのかは忘れたのですが、そう思い始めたのです。

奥駆道を舞台にしたレースはいくつか企画されているようです。たとえば、日本100マイルクラブの企画する「トレイル大峰奥駆道・南部編」(山岳約60km・2泊3日)なんていう大会もあります。なかなか楽しそうな企画なのですが、奈良まで行かねばなりませんから、よっぽどうまく日程調整をして、仕事を休まなければ参加できません。もっとも望ましいのは、金曜日に大阪に出張に行き、土曜日に走るというパターン。かなり難易度は高そうです。

しかし、いつ行ってもいいように、北岳の時同様に地図は既に購入し、暇なときには眺めてイメージトレーニングに励んでいます。

どうせ走るなら、この道がどういう道なのか、修験道とはそもそもどういうものなのかを知って走りたいものです。そこで購入したのが本書です。(前置きが、ずいぶん長くなりました。)

著者の久保田さんは、比較宗教・思想・文化論の研究をされている方です。比較的わかりやすく、歴史を紐解き、日本人にとっての神、あるいは仏とはどういう存在であったのか。その中で、修行、修験者、修験道はどういう存在であったのかを解説しています。

ご存知のように、多かれ少なかれ、古来より我が国においては、山はそれ自身が信仰の対象でした。木曾の御嶽山の様にそのことを色濃く残している山も少なくありません。奥駆道は、まさに信仰を深め、精進する心を鍛える道だったのです。もちろん、今でも全国から奥駆道には多くの信者が修行のために集まってきます。

大峰奥駆道と並び、山での修行として有名なのが、比叡山の千日回峰業です。千日ですから、約3年間毎日なのかと思っていたのですが、実は7年間を掛け行う業なのだそうです。ちなみに、最初の3年間は、年間100日1回に約30kmを回峰するそうです。そして、4~5年目には、年間200日回峰。ここまで700日の行を終えたところで、「堂入り」という修行があり、これは9日間「食べない・飲まない・寝ない・横にならない」状態を続けます。まさに、生死をかけた修行です。さらに、6年目には100日間1日60km、7年目には最初の100日間「京都大回り」と呼ばれる100kmのルートを歩き、最後の100日間は30kmに戻すのだそうです。

著者はこの千日回行に2回ほど同行取材をしています。トレイルシューズを履くわけでもなく、草履履きで30km歩き続けるのは、1日でも生易しいことではないと思います。よほど草履になれていないと、数キロで足がボロボロになるのではないでしょうか。

そして、食事も質素にして、必要不十分。うどん、ジャガイモ、豆腐を1日2回。基礎代謝と行動に必要な熱量を補えていません。おそらく、当初は身体に少しは蓄えられたエネルギーで補うのでしょうけれども、それで7年間も持つはずがありません。エネルギーを使わない登り方を身に付けるのか、限られた食事で活動を続ける術を身体で会得するのか。

ただ面白そうだという発想で、大峰奥駆道を走ってみたいと思ったのですが、もっと真摯な気持ちで登らなくてはいけないなと痛感。修行をしに登るわけではないけど、修行をしている人々の迷惑にならないように、そして自分自身も気を引き締めて、精神を研ぎ澄ませて、行ってみたいものです。

さて、いつ行けるでしょうか。
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by makani_tomo | 2006-09-20 23:10 | 読む
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走って、飲んで、そして読んでおります。
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