『駅伝がマラソンをダメにした』 生島淳
『駅伝がマラソンをダメにした』
生島淳 光文社新書 700円+税 お正月の定番スポーツというのがいくつかありますが、「箱根駅伝」はそのベスト3いや知名度ではベスト1かもしれない。しかし、その箱根駅伝があまりに有名になるが故に、日本男子のマラソンが弱体化していると主張するのが、本書である。 著者は、博報堂で働いた経験のあるスポーツジャーナリストです。広告会社ならではの視点が、本書にも大いに盛り込まれています。というのも、現代のプロ(あるいはメジャーなアマチュア)スポーツ大会を語る上において、広告会社の存在(=コマーシャリズム)は、避けて通ることができないからだ。 本書の主張は、箱根駅伝を日本テレビが全国ネットで中継し始めてから、出場校は自校の知名度(=大学としての収入)を上げるために、箱根駅伝を重視し始めた。高校中距離界のエースを、次々とリクルートし、平均20キロの距離を走る駅伝選手に育て上げ、その結果選手は大学を卒業すると、「燃えつき現象」を起こし、より距離の長いマラソンに対する意欲を示さない。 なるほど、と思う主張もあるが、あまり同感できない部分もある。確かにマラソンは駅伝よりも国際的な種目ではあるが、それはスポーツとしての優越を示すものではないのだと思う。もっとも、テレビ中継による影響は否定しないのだが。 駅伝を甲子園にたとえる部分があるが、たしかにそれは言える。故郷を背負っていると言う意識と、甲子園に出場するために他県への留学が頻発する現実。しかし、選手の精一杯の姿に、感動する人々の気持ちには、コマーシャリズムはあまり関係ないような気がするのだ。 そして、今日も箱根駅伝観ました。やはり、それぞれの選手ががんばる姿は、観ていて感動するものがある。もちろん、勝負はチーム全体での成績なのだが、一人ひとりが自負を持って、自分の記録に挑戦していることは間違いないと思う。 大学卒業後に、駅伝選手がマラソンに移行できるか否かは、その後の環境に寄るところが多いのではないだろうか。きっと、良い指導者、良い環境に恵まれれば、マラソンで大成する選手も出るに違いない。そう思いたいな。
by makani_tomo
| 2006-01-03 01:51
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