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『冷血』 トルーマン・カポーティ

『冷血』 
トルーマン・カポーティ
佐々田雅子 訳
新潮社ハードカバー
(現在は新潮文庫に収録。940円)

先日観た映画『トルーマン・カポーティ』で主人公カポーティが執筆していた著作、それがこの『冷血』です。映画を観て、いろいろ気になる点があったので、読んでみようと思っていたところ、近所の図書館に1冊あったので借りてみました。

まず、疑問に思っていたのが、犯人の2人がどの様な経緯で犯罪を犯し、そしてなぜ捕まったのか。そして何より、カポーティをそこまで夢中にさせたのは何なのか、ということでした。

いわゆるノンフィクション・ノベルと呼ばれる形態の小説なので、事件の詳細や犯人の人間像のみならず、被害者一家の人となりや街の様子なども非常に詳しく書き込まれています。映画にもあったように、時間を掛けた綿密な取材による情報がてんこ盛りです。最近の割合軽めの小説に馴染んでいる人には、かなり重くそして冗長に感じられるかもしれません。しかし、映画を観ていると、彼が如何にして情報をこの小説に盛り込もうとしたのかがわかるので、ある意味納得しながら読むことが出来ます。カポーティは、この事件が起こるしばらく前から、犯人達の刑が執行されるまでのあらゆる情報を、映像さながらに文字に落とし込もうとしていたかのようです。

今の時代は、Youtubeなどにも代表されるように、誰でも映像を撮り、それを大勢で共有することができます。ある映像を見て、そこから何をどの様に感じ取るかは、見た人個人の感じ方によって、微妙に変わってくる可能性があります。いや、それはそれで自然なことなのだと思います。しかし、映像自体には非常に多くの情報が盛り込まれているにもかかわらず、それを感じとる人と、スルーしてしまう人に分かれてしまいそうです。

文字による表現は、その表現から受けるイメージの再現に当たっては千差万別になるのだと思うのですが、少なくとも文字が表現している事実は、動かない事実として読者への情報として提供されるはずです。そういった情報が多ければいいのかといえば、そうとは限りませんが、少なくともカポーティは、多くの情報を盛り込むことで、読者の再現するイメージをカポーティ風に(ある程度)共通化させたかったのかもしれません。

ところで、彼がこの事件に夢中になった理由はある程度わかったのですが、その後小説を書けなくなった(書かなくなった?)ことについては、よくわからないままです。かなりお酒に溺れていたという話もありますし、映画では犯人にかなり感情移入していた側面があるやに描かれてもいます。僕は、お酒に溺れると共に小説への興味を失っていったのではないかと、勝手に想像していますが、真実は誰にもわかりませんね。
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by makani_tomo | 2009-04-10 14:30 | 読む
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